令和4年予備試験再現答案労働法 結果C

労働法

第1 Xは令和4年4月1日以降も労働者の地位にあることの確認を求める訴え、令和4年4月1日以降の賃金支払い請求及び、民法709条及び710条に基づく慰謝料としての損害賠償請求を裁判所に行う。

第2

1 Xは有期雇用労働者であり、雇用期間は5年を超えていない(労働契約法(以下労契法)18条1項)。Y社はXに対し、契約期間の満了日の「3か月」(民法626条2項)よりも前に契約を更新しない旨の通知をしているから、契約は適法に終了しているとも思える。

2 しかし、Xが労契法19条1項または2号に該当するかが問題となる。

⑴ 労契法19条1項は契約が実質的に形骸化している者を指し、2項は契約更新の合理的な期待を有する者を指す。

⑵ Xは契約期間は1年であり、契約更新のたびに新たな労働契約書に署名、押印するのみならず、その機会に、売り上げ成績や勤務態度、能力評価などを考慮して更新後の年棒額を決定していた。このような詳細な契約更新が行われていることから実質的に形骸化しているとは言えない。

⑶ア XはA店で勤務をして2年目の途中から売り上げ成績が継続してトップであった。そのため、一度も契約不更新の可能性を指摘されることはなく、令和3年4月以降も継続して成績はトップであった。契約更新の時に成績が考慮されることからすると、Xは契約更新に対して合理的な期待を有していたと思える。

イ Y社は以下を指摘する。Xは来店客が商品の購入を決めた場合の事務手続きを同僚に押し付けることを繰り返し、自分が誤った説明をしてしまった際には同僚に責任を転嫁するなどの行為が頻発していた。そして、令和2年及び3年の契約更新の際に勤務態度を改善すべきことを指摘していた。また、B店長もXに対し指導を行うこともあった。このような経緯からXは自身が契約更新されない可能性を人していたはずだと主張する。

ウ しかし、XがB店長から指導される際も、「大目に見てやってくれ」などとXを擁護する発言が他の従業員になされたり、トラブルが起きても他の従業員が他店へ移動させられるなどXは成績がいいために優遇されていた。そして一度も契約不更新の可能性を指摘されていなかったのだから、なおXは合理的な期待を有していたといえる。よって、Xは19条2項に該当する。

3⑴ Xは期間満了により契約終了とならない。また、Xは期間の定めのない労働契約への転換を申し出ていない(労契法18条1項)ので、従前と同じ有期労働契約が更新されている。

Xを通常解雇したか問題となるが、有期労働契約者を解雇する場合「やむを得ない事由」(労契法17条1項)が必要である。また通常の解雇と同様、解雇は労働者の経済的安定を損なわせることになり最後の手段であることから、解雇に客観的に合理的な理由と社会的相当性が存在しなければ解雇権濫用となる。そして、客観的に合理的な理由とは、解雇事由が重大で業務に支障が生じ、または反復継続的で是正の余地がないといえる場合であり、客観的に期待可能な範囲で解雇回避努力を尽くしたといえる場合をいう。社会的相当性とは労働者にとって酷でないことをいう。

⑵ Xは来店客が商品の購入を決めた場合の事務手続きを同僚に押し付けることを繰り返し、自分が誤った説明をしてしまった際には同僚に責任を転嫁するなどの行為が頻発していた。そして、令和2年及び3年の契約更新の際に勤務態度を改善すべきことを指摘していたにもかかわらず勤務態度は改善しなかった。その結果A店全体の職場環境は相当悪化した状態になり、従業員2名が立て続けにやめていた。このような事態からすると、Xの非違行為は重大で反復継続的であり、改善の余地を乏しかった。しかし、Y社は事前に減給や戒告などの処置をとり業務態度を改善するように迫るなどにより解雇回避努力を尽くすことはできたと思われるため、客観的に合理的な理由は認められない。

⑶ また、経済生活の安定を失う解雇を成績トップであるにもかかわらず突然行うのは酷である。

⑷以上より、解雇を行うにやむにやまれない事情は認められないため、Xは労働者の地位を有する。

第3 Xの労働者の地位の確認は認容される。民法624条により賃金請求権は認められないとも思えるが、民法536条の「債権者の責めに帰すべき事由」が認められるため、賃金請求も認められる。もっとも、賃金請求が認められることにより慰謝されるのが通常であるため、慰謝料請求は認められない。

 以上

(1800字くらい)

 

(雑感)

受験生のレベルがきっと高くないことを期待してBあってほしい

 

けっこう間違えてる 泣

まず、19条1項1号と2号じゃなくて、1項と2項て書いた気がする。

さらに、混乱して有期雇用契約者の途中解約にしてしまった、、完全にミス。終盤ぐしゃぐしゃだ。普通に解雇権濫用法理を論じるだけでよかった