令和4年予備試験再現答案民事訴訟法 結果F

民事訴訟

第1 設問1 ①Xが原告となりAがXの代表者として訴えを提起する方法

1⑴ まず、Xは権利能力なき社団であるが、「社団」(民事訴訟法(以下法名省略)29条)にあたり当事者能力が認められるか問題となる。

⑵ 29条の趣旨は、社団も社会的活動を営む主体であり、紛争の主体となりうる一方、民事訴訟は実体社会の権利の実現を図るものであるから、社団にも当事者適格を認めることが争訟経済及び当事者間の便宜に資するとした点にある。そうだとすると、かかる趣旨は権利能力な記者団にも及ぶため、権利能力な記者団も「社団」に含まれる。

⑶ Xは権利能力な記者団であるから、当事者能力が認められる。

2⑴ Xの意思決定は原則多数決で行われ、不動産等の重要財産を処分する場合構成員の3分の2の特別多数が必要である規約があるため、訴訟行為の法的性質が問題となる。

⑵ 本件訴訟は甲土地を新たに処分するという性質ではない。甲土地がXの所有物であることを確認するにすぎず保存行為(民法252条)の性質を有する。そのため、反対者がいても、構成員の過半数が賛成すれば訴えを提起できる。

第2 設問1 ②権利の帰属主体であるXの構成員らが原告となる方法

1⑴ Xの財産は構成員に総有的に帰属するため、Xは構成員の準共有(民法264条)であると考えられる。構成員が個別に訴えを提起できるか否かについては本件訴訟の法的性質が問題となる。

⑵ 民事訴訟法が実体法上の権利の実現プロセスであることに鑑み、訴訟行為の管理処分権は実体法上の管理処分権を基準に考えるのが原則である。もっとも訴訟政策的観点も加味して必要な修正を加える必要がある。

⑶ 本件訴訟は甲土地がXの所有権に属することの確認であり、実体法上の性質は保存行為(民法252条)である。そうだとすると、構成員は各人が訴えを提起できることになる。もっとも、一物一権主義の観点から、所有権は矛盾した判決が生じる必要があるため、複数人が同一の訴えを提起した場合合一確定の要請から類似必要的共同訴訟となると解する。また、反対者については被告側にて参加することができると考える。

第3 設問2 ㋐本件別訴について

1 重複起訴を禁止する142条の趣旨は、訴訟不経済の防止、判決の矛盾抵触の回避にある。そうすると、禁止される訴えとは当事者と訴訟物が同一である訴えを原則として、請求の趣旨が異なっていても実質的に判決が矛盾抵触する恐れのある訴えも含むと解する。

2⑴ 本件訴訟の当事者はXとYであり、本件別訴の当事者はXとYであり同一である。

⑵ 本件訴訟の訴訟物は甲土地の総有権の確認であり、本件別訴の訴訟物は所有権に基づく甲土地の明け渡しであり、異なる。請求の趣旨も異なるが、両者の請求の背後には甲土地の所有権の所在という実質的に矛盾抵触する恐れのある訴えが含まれている。よって、本件別訴は不適法となる。

第4 設問2 ㋑後訴について

1 前訴判決の既判力はXの甲土地の総有権の不存在に生じる。後訴の訴訟物はYの所有権に基づく甲土地の明け渡し請求権であり、前訴判決と同一でも先決関係でも矛盾関係でもない訴訟物であるため既判力は及ばない。

2 もっとも、既判力の遮断効により前訴判決の訴訟物と矛盾する前訴口頭弁論終結自前の事由による主張をXは行えなくなる。よって、Xは所有権が自己に属する主張が行えずにYの請求が認容される。

以上

(約1370字)

雑感 C

設問2㋑何書けばいいかよくわからず。時間もないしかなり雑になった。よく考えたら後訴への通用力~~とかだけでも書けばよかった。