令和4年予備試験再現答案刑法 結果F

刑法

第1 設問1 甲の罪責

1 甲の、Yにブドウを万引きさせようと指示した行為に、窃盗罪(刑法(以下法名省略)235条)の未遂犯(243条)の共同正犯(60条)が成立するか。

2 まず、Yは「14歳」未満であり、刑事未成年であり責任故意が問われない(41条)。しかし、事物の善悪を認識することは6歳であればできると思われる。実際、「お金を払わずにこっそり」ブドウを持ってくるという甲からの指示にちゅうちょしており事物の善悪は認識していると考えられる。事物の善悪を認識できるものであれば、刑事未成年であっても共犯は成立すると考える。

3⑴ 甲は実行行為を行っていないにも関わらず共犯が成立するか問題となるが、共犯の処罰根拠は構成要件的結果発生のために相互に利用補充をする点にある。そうであるならば、正犯意思をもって共謀を行い、共謀に基づく実行行為が行われればかかる利用補充関係は認められると解する。なお、実行行為を行っていないものは重要な役割を担う必要があると考える。

⑵ 甲は自宅でブドウを食べるという正犯意思をもって、母親という上位者の立場でYに指示をしている。そして、窃盗の計画もすべて自身で立案したことからすれば重要な役割を担って共謀を行ったといえる。

⑶ もっとも、Yは6歳と事物の善悪もかろうじて認識できる程度であり、甲から「はやくいきなさい」と強い口調で言われて怖くなり指示に従っているため、意思を抑圧されて道具として利用されたのではないかが問題となる。しかし、甲は10分間ほど店内を回った後場所がわからずに甲の元に帰ってきていることから、意思を抑圧されるほど甲に恐怖していたとはいえず、あくまで自身の意思で行動したと評価できる。

4⑴ Yは店内のブドウの場所がわからず帰っているが「実行に着手」(43条本文)したといえるか問題となる。

⑵ 実行行為は構成要件的結果発生の現実的危険を有する行為である。実行に着手したといえるためにはかかる危険性を生じる行為に着手しなければいけない。本件では少なくともブドウの棚に近づく行為は行わなければかかる危険は生じない。よって窃盗罪の未遂罪も成立しない。

5 以上より上記行為について甲は何ら罪責を負わない。

第2 甲の、Xに牛肉を取ってくるように指示した行為に窃盗罪の共同正犯が成立するか。

1 Xも刑事未成年であるが13歳であり、事物の善悪は認識している。甲から万引きを指示された際にも「万引きなんて嫌だよ」と断っており、事物の善悪を認識している。そして、その後甲から「あのスーパーは監視が甘いから見つからない」などと説得されてしぶしぶ応じているが畏怖はしていない。また、甲はステーキを食べるという正犯意思を有し、母親という上位者の立場で作戦の立案をすべて行っていることから、共謀及び重要な役割を担っている。

2 XはC店が所有する「他人の財物」である牛肉5パック及びアイドルの写真集を客体として、自己で利用するという不法領得の意思をもって、自宅に占有を移転させ「窃取」している。

3 よって、甲の上記行為には窃盗罪の共同正犯が成立する。もっとも共謀の射程は牛肉2パックであり、その範囲で共謀共同正犯が成立する。

第3 設問2

1 事後強盗罪(238条)は、「窃盗」という身分犯である。そして既遂未遂の判断は、暴行によって定まる。「暴行または脅迫」は相手方の犯行を抑圧するに足る程度であることを要する。また、「逮捕を免れ」といいうるためには窃盗の機会に行われることを要し、窃盗の機械の判断は時間的場所的近接性で判断する。

2 甲は窃盗罪の実行に着手しておらず窃盗の身分を有さない旨主張する。具体的には窃盗の実行着手時期は精算せずにレジを通過して店外へ出た時点であり、液晶テレビを店外に持ち出さなかったのであるから窃盗罪の未遂罪も成立しないと主張する。

3 甲は本件暴行は、反抗を抑圧するに足りる程度のものではなかった旨主張する。具体的には、35歳の女性である甲が、Fの胸部を1回押しただけであり、反抗を抑圧するに足りないため、事後強盗罪は成立しないと主張する。

4 甲は本件暴行は、窃盗の機会に行われたとは言えないと主張する。本件では、甲はE店から約400メートル離れた公園で約10分間とどまっており、誰も追ってこなかった。そして店内から走って逃げてから約18分後にE店に戻ってきている。この400メートルと18分間という時間は窃盗の機械性を失わせるに十分であると具体的には主張する。

以上

(約1800字)

(雑感)

頼む。C

刑訴が書くことあんまりないというかよくわかんなくて55分で終わり、85分かけました。普通の刑法の問題にしてほしかった(泣)

既遂の判断は暴行を基準にしてしまったような気がします。そうか未遂罪でもいいのか。ミスりました。無理くり無罪にしたような気がします。4ページ目の真ん中くらいまで行ってたような気がするので、もう少し事実とかを抜粋してるかもしれません。