刑訴法 令和5年予備試験 再現答案 結果E

第1 設問1

1 甲は本件暴行については逮捕されていないため、本件暴行の事実についても付加して勾留をすることは逮捕前置主義に反しないか問題となる。

⑴ 逮捕前置主義は明文での規定はないが、法は身体拘束に二重の審査を要求し(刑事訴訟法(以下略)200条、64条)、慎重な判断を要求しているため、同原則は認められると解する。また、身柄拘束の審査は人ではなく事件単位で行われているため、逮捕が前置されているかの判断は事件単位を基準とする。そして、逮捕及び勾留は最終的には刑罰権の実現の手段であるから、刑罰権の及ぶ範囲により事件の同一性を判断する。ここで、刑罰権は将来的には、訴因変更のできる範囲で及びうるため、「公訴事実の同一性」の認められかにより事件の同一性を判断する(312条1項)。公訴事実の同一性は事件における基本的事実関係が社会通念上同一であるかを第一次的に、事実が非両立であるかを補充的に判断すればよいと解する。

⑵ 本件暴行は令和4年7月1日にH県内の飲食店で行われているところ、本件住居侵入等は同年8月20日、H県内のV方で日時場所ともに大きく異なる。また本件暴行と本件住居侵入等では犯行の態様も大きく異なる。両事件の非両立性もなんら認められず、明らかに別事件といえる。

⑶ 甲は本件暴行について逮捕されておらず、本件住居侵入等との事件の同一性もないのだから、本件暴行につき勾留することは逮捕前置主義に反する。

2 もっとも、甲は既に本件住居侵入等により逮捕されており、この被疑事実につき勾留の要件が満たされているのならば、本件暴行事件につき逮捕前置されない方が身柄拘束期間が短縮され有利と言え、例外的に逮捕全治しないことが認められないか問題となる。

⑴ たしかに本件暴行につき逮捕前置しない方が身柄拘束期間が短縮する場合はありうる。しかし、本件暴行につき勾留の必要性がない場合はあり得る。そしてこの場合、本件住居侵入等につき勾留の必要性がなくなった場合には早期に釈放されるのであるから、本件暴行につき逮捕を前置しないことが必ずしも利益となるわけではない。そうだとすると原則を徹底し、事件ごとに逮捕を前置することが必要である。

3 以上より、裁判官は本件暴行の事実を付加して勾留することはできない。

第2 設問2

1 下線部②は一罪一逮捕一勾留の原則に反しないか問題となる。

⑴ 一罪一逮捕一勾留の原則は明文はないが、203条以下が身柄拘束期間につき厳格な制限を課していること及び、訴訟行為一回性の原則から認められると解する。しかし、真実発見の要請(1条)から、再逮捕及び再勾留を認める必要性がある。また、再逮捕を199条3項は予定していることから、逮捕に引き続く再勾留も法は予定しているといえる。そこで、①事件の重大性、②新証拠の発生などの理由及び必要性があり相当といえれば、例外的に再勾留は可能と解する。

⑵ 強盗致傷罪(刑法240条)は無期または6年以上の懲役刑となる重大事件である(①充足)。甲は令和4年9月7日に本件住居侵入等の事実での勾留から釈放されているところ、その時点では氏名や所在が判明していなかった乙が同年10月6日に別事件で逮捕されている。そして、乙から押収した乙の携帯電話を解析したところ本件住居侵入等について甲と共謀していたことを裏付けるメッセージという新証拠を発見し甲に対する同事件の嫌疑も高まった。このような経緯からすると、検察官の同時捜査可能性がなかった新証拠の発見により再勾留の理由及び必要性が高まっているのだから、相当性も認められる(②充足)。

⑶ 以上より、裁判官は甲を勾留できる。                 以上。

 

73分くらい使ってしまった。これにより刑法はかなり時間足りなくなった。(完ぺきではないものの事実もだいぶ使えたしAであってほしい。。)

設問1 公訴事実の同一性についてどこまで語るべきかよくわからなくなり結論だけ記載した。

設問2 甲が二回同一事件で拘留されていることを認定すべきだったが多分やってないです。ああ、相当性ではなくて、逮捕の不当な蒸し返しといえないが正しい規範かな。忘れてて適当に作った。勾留期間とかについてまで書くのは時間的に無理でスルーした