民法 令和5年予備試験 再現答案 結果D

第1 設問1

1 請負契約は諾成契約であり、合意した時点で成立している(民法(以下略)632条)。また、締結時点で仕事の完成が不能であったとしても、自ら申し込んだものに帰責性がある場合に無効とする理由も根拠もなく契約は有効であると解する。

2 本件請負契約が有効であること前提に、Bは、Aに対して、債務者の責めに帰すべき事由により仕事の完成ができていない以上、債務者は反対債務を拒絶できないとして、250万を請求しているが、これは認められるか。

⑴ 請負契約においては、仕事の完成が先履行であるため、仕事を完成していない以上そもそも報酬を請求できない(633条)。

⑵ よって、Bの請求は認められない。

3 そこで、BはAに対して、Aが契約準備段階における信義則上の注意義務に違反したとして損害賠償請求をする(1条2項、415条)。

⑴ 契約準備段階に至ったものは相互に相手方の人格及び財産を傷つけない信義則(1条2項)上の義務を有する。もっとも、契約締結に至っていない以上、適用範囲が広がりすぎないように①交渉等が社会通念上契約準備段階に至ったといえ②一方当事者が準備行為に及ぶのが相当といえ③その誘因を相手方当事者が与えた場合は、相手方の人格及び財産を傷つけない信義則上の注意義務を負うといえる。

⑵ 本件では、BはAに対し、本件請負契約締結にあたり、「どのように保管しているのか。現在も修復可能なのか。」などと何回も確認していたところ、Bは「大丈夫だ。」と事得ていた。このような経緯からすると、交渉等が社会通念上契約準備段階に至ったといえ、さらにBがAのために準備行為に及ぶのは相当であった(①、②充足)。また、Aが「大丈夫」と言っていたため、Bが準備行為に及んでおり、Aが誘因を与えているといえる(③充足)。そうすると、AはBに対して信義則上の注意義務を負っており、本件請負契約は契約締結に先立つ令和5年6月15日ごろまでには不能となっていたが、この時点でAは注意義務に違反していたといえる。

⑶ア Aの注意義務違反により、Bが準備した材料費等40万円の損害が発生しており、因果関係も認められるため、この部分につき債務不履行に基づく損賠賠償は認められる(415条)。

イ 250万円の請負報酬については、その期待利益が「通常生ずべき損害」(416条)と認められるかが問題となるが、事業者であるBが請負契約で利益を得るのは当然であり、想定される利益の範囲で認められる。

第2 設問2⑴

1 DはBが乙の所有者と思っており、占有改定により即時取得(192条)が成立しないか。この点、192条は、外形的な支配状態の移転により、善意無過失の譲受人が所有権を原資取得する。しかし、占有改定では外形的な支配状態が移転しないため、即時取得は認められない。

2 Dに即時取得は成立せず、Cが所有者である。さらに、Cが乙を持ち帰り、Dへの引き渡しも拒んでいる以上、Dの請求は認められない。

第3 設問2⑵

1 Dの主観では、Cの指図による占有移転により所有権を取得している。この場合、主観では、たとえ乙が他人物であっても即時取得が成立する形式の取引であり、Dの主観では確定的に乙の所有権を取得していた。この信頼は保護されないか。

2 本件の外観はもともとCが作成していて、その概観をDは信頼しているため、94条2項を類推適用する基礎がある。外観が存在し、真の権利者に帰責性があり、外観に対する信頼が存在する場合は94条2項を類推適用できると解する。

3 本件ではCが委託契約の外観を積極的に作成したのであり、その概観をDは信頼している。よって、94条2項を類推適用するとともに110条の法意に照らし(Bについて無権代理に似た関係がある)善意無過失なDは保護されて乙を取得する。よってDの請求は認められる。                        以上

 

 

 

65分くらい。最後に解いた。

設問1

なやみながらでまとまりない。無効なのかもよくわからんがとりあえずなにかは書かないとと思い書いた。

暗記していた準備段階はそのままでは使えず無理やり変えた

ああ、予見すべきの416条2項だわ。焦ってて間違えてる

設問2は15分くらいでガタガタになりながら書いた

全体的に文章はもっとがたがただったはずで、この再現より評価は落ちると思います。110条は触れないほうがよかったな。混乱しながら適当に書いた。確か残り1分とか